地方行政ICTフォーラム九州にみた地方創生の「場づくり」のカタチ

地域金融にかかわる仕事をするなかで金融機関のみならず、行政関係者、コンサルタントなどの方々と「地方創生」の話題について対話する機会が増えてきている。そのなかで、地域のリーダーが旗振り役となって地域の資源を結び付ける「人と人のつながり」を築いていくことが大切である、とみなが口をそろえる。立場や、業種、分野、会社の壁を超えて、モノやお金、技術、情報などをオープンにつないでいく「場づくり」のシナリオが重要であると。

そのなかで、いつも私が感じていた疑問、その「場づくり」は誰が行えば、最も効果的なのだろうか?

行政か、金融機関なのかも地域の有力企業か、はたまたNPOなどの非営利の組織なのだろうか。

 

先日、その問いに対して、大いなるヒントをくれる経験をした。

8月18~19日に福岡で開催された、「地方行政ICTフォーラム九州」というイベントに出席したことである。

このイベントは、九州を舞台に、行政のみならず、企業、大学、投資家などが参加しての、「地方創生」やICT活用の生きた実践事例が数多く披露されたほか、ワークショップや懇親会でのネットワーキングが二日間にわたって繰り広げられた。(私もパネルディスカッションにモデレータとして参加させていただいた)

 

1000人以上を集めた会場風景

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パネルディスカッション「地方創生×IoT ~地域からのイノベーション創発の実践へ~」
「九州愛してる!」と叫んだ瞬間(左端が筆者)

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そして、このイベントのテーマは「まちはチームだ。」である。すばらしい !

パンフレットに書かれていたメッセージを紹介しよう。

 


ひとりだけではできないことがあります。ひとつの組織ではできないことがあります。ひとつの地域ではできないことがあります。けれども、ひとが、組織が、地域が、あらゆる壁を越えてつながれば、今までの不可能は可能に変えられます。「まちを愛する」という想いのもとに、新たなつながりと、新たな技術が、カタチだけで終わることのない、実践する地方創生を可能にします。この地方行政ICTフォーラム九州は、その一助となるために、産学官民金完全中立の立場から、より多くの皆様に実践事例を共有し、新たな交流を生み出し、そして地域での活動を実践するための起点となるために「まちはチームだ」のコンセプトの元、ご提供いたします。


 

 

このイベントは二日間で1000人を超える入場者を集め大盛況で幕を閉じた。

このイベントを企画したのが、自治体でも企業でも、金融機関でもない「九州IT&ITS利活用推進協議会(以下、略称 QPITS)」という小さな任意団体であった。

その中心にいるのが、2013年にQPITSを立ち上げ、事務局長もつとめている渋谷健さんである。私は、渋谷さんとは個人的にも親しいという縁があって、このイベントにかける彼の思いを間近で聴いていた。彼は、自治体や企業に属しながらさまざまな、利害やしがらみを抱えていて本当にやりたいことをできないひとたちに向けて、対話や交流、そして実践の機会を提供したいと話していた。

彼は、作った場で行われる事業や活動には口を出さない。どの企業の色もついていない完全中立な団体であるため、組織を超えた地域のリアルなコミュニティがそこに創られる。大々的なプロモーション活動もせず、1000人超の参加者を集めたこのイベントはまさに、その集大成の場であった。

 

ワークショップのファシリテーションに立つ渋谷健さん

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地域には地方創生の思いをなしとげたい人が実はたくさん存在している。ちょっとしたリソースが不足していたり、組織のしがらみのなかで制約をうけていたり、アイデアを実践する機会に欠けたりしているだけなのだ。渋谷さんの取り組みは、そのちょっと足りない部分を引き受ける場を提供しただけであるが、そこに地方創生の「場づくり」の大いなる可能性を感じることができた。

 

場づくりとは「どの組織が行うか」ということではなく、「誰がどんな意図で行うか」のほうがはるかに重要なのであろう。

そんなことを感じて、福岡をあとにした。