混沌を受け入れる対話~「地域金融みらい会議2017」開催報告

今、日本の地域金融の世界では何が起きているのだろう。

国内の資金需要の低迷や、マイナス金利によって地域金融のビジネスモデルは崩壊すると言われている。

それは現実の世界で実際に目に見えている世界のこと。

ここ最近の僕の関心は、起きている変化の底辺に流れているもの、その流れをつくり出しているものの正体が何かということ。

 

もしかして、そう遠くない未来に「新しいパラダイムの金融」が出現しようとしていて、

今ここの僕たちは、少しずつ「古いパラダイムの金融」を手放す準備をしているのかもしれない

さなぎが蝶になるための準備をしているように

 

出現しようとしている「新しいパラダイム」は、僕たちの意識の中に存在している。

なぜなら、全ての現実世界は人の意識が創り出しているものに違いないから。

ただ、僕たちはそれに気がついていない、気づこうとすることを拒むかのように。

意識の中にある出現させたい金融の世界、それに手が届けば我々は自らの手でパラダイムの転換を成し遂げられるのに

 

意識を解放させるために「対話」ほど強力な手段はない。

どれが正しいかという意見と意見を戦わせる「議論」の世界では新しいパラダイムが出現することはない。

「対話」とは「全ての人の意見はその人にとって正しい」ことを前提とするところから始まる。

「対話」によって、これまでのパラダイムを超えた創発を生み出す起点となるに違いない。

 

そんな願いもあって、2017年11月16日に「地域金融みらい会議」を開催した。大切にしたコンセプトは「マルチステークホルダーでの対話」。それも、本当に深いレベルでの

 

ちなみに「地域金融みらい会議」はISIDが主催している地域金融の変革をテーマにした対話型のイベントのことである。

回を重ね、今回は8回目となった。本当によく続けてこられたものだと思う。

今回は、約80名の方が集ってくれた。金融機関の役職員が約半分、そして金融機関以外にお勤めの方も約半分という構成でした。

金融機関では日本銀行からメガバンク、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、政府系金融機関まで

金融機関以外では、FINTECH事業者、企業経営者、コンサルタント、クラウドファンディング事業者、お寺の住職さんなどです。

金融機関以外を含めて、これだけ多様なメンバーが金融イベントに一堂に会することは過去になかったかもしれない。

 

 

対話は「ワールドワーク」という手法によって進められた。「ワールドワーク」とは、アーノルド・ミンデルという人が開発したプロセス指向心理学を用いた対話の手法を用いたものである。

人や組織の抑圧された感情・思考を解放し、対立する立場の一方に肩入れすることなくそれらを全体にとって必要な部分として捉えていく、こうした気づきを促すことで、グループを変容させるということを意図したものである。

世界の民族紛争の解決手段としても用いられているこの手法、金融関係のイベントでこれだけの規模でワールドワークが実施されたのは初めてのことであろう。

そのチャレンジを引き受けてくれたのが、ファシリテータの山田夏子さん、廣水乃生さんだった。

 

 

そして、当日に起きたこと、それは一言でいうと「混沌」であった。

金融機関以外の参加者からは、変われない金融に対しての苛立ちや、あきらめ、そして叱咤激励の声が飛ぶ。

金融機関の抵抗をする声が、「僕達だって限界ギリギリでやっているんです」

場が転換したのは、金融機関の側からついに「それいっちゃダメだろ」っていう抑圧されていた感情が場に出されたときだった

 

「僕達は全ての責任をとることができないのです」

 

バンカーが、地域や預金者の「安全・安心」を守るために公の場で汲み取ってもらったことは、初めてのことかもしれない。

自分たちの弱さを受け入れたとき、ようやく金融機関は「古いパラダイムの金融」を手放すことができるのかもしれないとその時に感じることができた。

ROUNDTABLEは8回目にして本当の意味での「対話」にようやくたどり着けたような気がする。

 

江上 広行


開催報告のPDF版がこちらからダウンロードできます。

RoudTable2017「対話する銀行」開催報告

 

<対話の様子を記録したグラフィック>